ソファー・財布・バッグ等修理|高知市の革修理は革研究所 高知上町店
革修理ブログ
2026/06/18
皮から革へ、そして革製品へ 高知市
こんにちは、革研究所高知上町店です!
当店のブログをご覧いただき、ありがとうございます。
今日の高知市は「曇り」今日こそ「曇り」!(笑)
天気予報を信じて傘を持って来なかったので、このまま雨が降らずにいてくれることを願っています(^-^;
気温はどんどん上昇中です!!
前回は長々と革製品のお手入れについて書かせていただきましたが、梅雨時期の湿気対策や夏場の暑い時期に汗染みや紫外線からのダメージを防ぎ、劣化を軽減していくための参考になっていれば幸いです。
写真も無く、長々と書いていたので、最後まで読んでくれた方は少ないと思いますが、今日も懲りずにブログを書いていきたいと思います!
文章ばっかりになりますが、少しでも見やすいブログになればと思いますので、お付き合いください(^^)
さて今日は何を題材に書こうかと考えた結果、「皮」が「革」になって「革製品」になるまでの工程を書いていきたいと思います。
「皮」と「革」どちらも読み方は「かわ」なので、漢字の違いだけのように思うかもしれませんが、実はちゃんとした意味があるんです!
以前アップした「革製品の始まり」のブログの中にも「皮」から「革」への変化と意味や使い方の違いについて書いていましたが、今日はその部分をしっかりと掘り下げて書いていきたいと思います。
最後まで読んでくれた方はきっと「皮」と「革」の違いだけでなく、革製品の尊さも含めて理解していただけるはずです。そして、今持っている革製品への愛着もきっと湧くはずです!
大切な一品(ひとしな)を、もっと大切にしたくなってもらえるように頑張って書きたいと思います。
それでは最初に、革製品に使う「皮」について書いていきたいと思います。
革製品に使われる皮は全て何かしらの動物の皮を使っています。
身近なものでは「牛」「豚」「馬」「山羊」「羊」「鹿」などが挙げられますが、爬虫類系の皮で「ワニ」や「蛇」なども人気です。また鳥類では「ダチョウ」などもよく使われています。
動物の皮なの!?
と思われた方もいるかと思いますが…全て動物から剥ぎ取った皮です( ゚Д゚)
なんだか可哀想な気もしますが、これが現実です…。
動物の皮を剥ぎ取っただけの状態を「原皮」と言います。
原皮状態には当然ですが、その動物の毛や脂肪分が付着した状態ですので、このままでは革製品にすることはできません。
なぜかって??
それは腐ってしまうからです!自然の物を自然な状態のまま放置しておくと、自然に返ります。なのでこのまま使用することはできません。なにより臭いも凄いし…
では、この皮の状態をどうやって革製品で使えるような「革」にしていくのかを詳しく書いていきたいと思います。
動物から剥がされた原皮は非常に腐敗しやすいため、素早く保存処理を行う必要があります。
一般的には大量の塩を用いて水分を抜いたり、冷凍や冷蔵保存が行われることが多いのですが、この段階ではまだ「皮」であり、「製革工場」というところへ運ばれて処理されます。
製革工場に搬入された皮(塩で処理された物や冷凍・冷蔵保存された物)は、まず大量の水に浸されます。
この工程を「浸漬(しんし)」または「水戻し」といい、皮に付着した塩分や汚れ、血液などを洗い流しながら皮本来の水分量を回復させる工程です。
この時、防腐剤や界面活性剤を加えることによって、皮を均一な状態へと整えていきます。
この工程が不十分だと後の「なめし」といわれる工程に悪影響を及ぼすため、非常に重要な前処理です。
次に行われるのが脱毛工程です。
石灰や硫化ナトリウムなどを含む薬液に皮を浸し、毛や表皮を除去していく工程です。
この工程は「石灰漬け」とも呼ばれ、毛根組織を分解するだけでなく、コラーゲン繊維をほぐして柔軟にするこtによって、後に添加する薬剤が内部まで浸透しやすい状態を作る役割もあります。
牛の皮の場合、毛を完全に除去することが一般的ですが、毛が付ついたまま革を作る場合には別の処理が施されます。
脱毛後の皮には脂肪や肉片が残っている場合があるため、これらを機械で削り取る工程を行います。
これを「フレッシング」といい、皮の裏側に付着した不要な組織を取り除くことで、厚みを均一にしていきます。この工程をすることで、後々の加工を行いやすくします。
そのため、この工程で十分に不要物を除去しないと、腐敗や品質低下に繋がってしまいます。
石灰漬けの工程の後、皮は強いアルカリ性になっているため、そのままでは「なめし」がうまく進みません。
そこで、酸性薬剤などを用いて石灰分を除去する「脱灰」という作業を行います。
さらに、不要なタンパク質を分解すために酵素を用います。この工程を「酵解(こうかい)」といい、酵解によって皮はより柔らかくなり、きめ細かな革へと仕上がっていきます。
「なめし」の工程の前に行われるのが「ピックル処理」という工程です。
塩と酸を加えた液に今までの工程を施した皮を浸して、pHを調整する工程です。
特に「クロムなめし」と呼ばれる作業では、この工程によってなめし剤が均一に浸透するように行います。
ここまでの処理が終わった段階で皮は「裸皮(らひ)」と呼ばれるようになり、大まかな下処理が終わった状態になります。
「なめし」とは、製革に「おいて最も重要な工程で、皮のコラーゲン繊維を化学的に安定化させ、腐敗しにくく耐久性のある「革」へ変化させる工程です。
「なめし」作業をしているか、していないかで「皮」のままなのか「革」になるのかが違うんですね!
「なめし」を大きく分けると「植物なめし」と「クロムなめし」に分けることができます。
「植物なめし」とは、植物の樹皮や果実から抽出したタンニンを利用する方法で、ミモザやケブラチョ、チェスナットなどの植物成分が用いられ、時間をかけてじっくりと繊維にタンニンを浸透させるため、工程が長期間わに渡って行われます。
「植物なめし」で完成した革は硬くコシがあり、使い込むほどに色艶が深まります。
長年に渡り経年変化を楽しめるため、高級財布やベルトなどによく使用されています。
「クロムなめし」は現在の革製造で最も広く用いられている方法で、塩基性硫酸クロムを主成分とするなめし剤を使用し、短時間で効率よく加工することができます。
完成した革は柔軟性があり軽くて耐熱性や耐水性にも優れているため、靴やバッグ、衣料用レザーなど多くの製品に利用されています。
この他にも、「植物タンニンなめし」と「クロムなめし」を組み合わせる方法で「コンビネーションなめし」という方法があり、双方の長所を活かして、柔軟性と耐久性、経年変化の美しさを楽しめるなど、双方の良いところを兼ね備えた革を作ることもできるようになっています。
なめしの工程が終わると、革の水分をある程度取り除き、機械で圧搾する工程を行います。
続いて皮を削る「シェービング」と呼ばれる工程で、皮の厚みを均一に整えます。
革製品は使用される用途によって求められる厚みが異なるため、この工程で精密な調整が行われます。
(財布などの小物であれば薄く、靴やバックの底面用であれば厚くなど、用途に応じた加工が行われます。)
革の性質をさらに調整するため、「再なめし」が行われます。
ここでは追加のなめし剤を使用し、柔らかさや弾力性、強度などを調整し、処理後は染料を用いて染色し、希望する色に仕上げていきます。
さらに「加脂」と呼ばれる工程で油脂を革内部に浸透させます。この作業により革は柔軟性を保ち、乾燥やひび割れを防ぐことができようになるのです。
この工程の調整具合によって、革の風合いや手触りが大きく変わっていきます。
ここまでくれば、もうすぐでゴールが見えてきます!
加工された革は乾燥工程へ進みます。
単純に乾かすだけでは革が硬くなったり縮んだりするため、温度や湿度を調整しながら慎重に乾燥させていく必要があります。
真空乾燥やトグル乾燥などといった様々な方法を用いて、革の種類や目的に応じて処理の方法を変えていきます。
乾燥後の革は硬化しているため、「ステーキング」と呼ばれる機械によって揉みほぐす処理が行われます。
揉みほぐされて柔軟性を取り戻した革は、表面加工が行えるようになります。
革の表面を「銀面」といい、革製品の表側のことを指します。この銀面を磨き上げるものや顔料を吹き付けるもの、型押しで模様を付けるものなど、多彩な仕上げ方法が存在し、皆さんの趣味に合うものが選べるようになるんですね。
仕上げの方法については、今度アップしたいと思いますので、お楽しみに!
表面加工が施された革は、製品工場へ送られます。
製品工場へ送られた革はまず革の状態を確認され、傷やシワを避けながら型紙に沿って裁断されます。
天然素材である革は部位によって強度や伸び方が異なるため、職人は用途に応じて最適な場所を選んで裁断していきます。
(背中側が最も硬く、お腹側が柔らかいなど…各部位によってことなるため、同じ製品でも使う部位によって出来上がりの強度や風合いはかなり変わってきます。)
裁断されたパーツは「漉き加工」によって部分的に薄くされ、縫製しやすい形に整えられます。
漉き加工では革自体の厚みを調整でき、加工の工程でより製品化しやすい状態を作ることができます。
革製品を作る職人さんによってこの処理が違い、漉き加工を行わずに縫い合わせた革は厚く武骨な印象になり、漉き加工を行って縫い合わせた作品は繊細で美しい仕上がりになります。
これはどちらが良いというものではなく、使う人の好みです!
革製品に何を求めるかは、あなた次第です!
このような漉き加工後に、縫製や組み立て、コバ処理や金具の取り付けなどが行われ、財布や鞄、靴やベルトといった革製品へと生まれ変わっていくのです。
革製品を作る作家さんや職人さんは、世の中にたくさんいます!
高級ブランドを手掛ける人や個人で制作して販売している人まで様々で、作り手によってデザインや風合い、使いやすさまで様々あるのが革製品の魅力だと思います。
私たちが日常的に手にする革製品は、動物の皮を剥がした原皮の状態から始まり、保存→脱毛→脱灰→なめし→染色→仕上げ→裁断→縫製といった数多くの工程を経て作られています。
特になめしの工程は、腐敗しやすい「皮」を長期間使用できる「革」へ変える製革の最も重要な技術であり、革の品質や個性を決定づける重要な役割を担っています。
革は天然素材なので、一枚ごとに表情が異なり、使用とともに色や艶が変化する経年変化を楽しめるのも大きな魅力の一つです。
ここまで書いたように、革製品が完成するまでには多くの職人さんや技術者の方々の知識と経験が注ぎ込まれています。
その背景や工程を知ることで、革製品の尊さや愛着がより深まっていくのではないでしょうか。
最後に、動物の皮を使っていることに対する罪悪感を拭えるかどうかわかりませんが、説明を加えておきたいと思います。
基本的に動物の皮を取る(皮革や毛皮を得る)こと自体は、日本では一律に禁止されていません。
ただし、どの動物の皮なのか、どうやって入手したのかによって規制が大きく変わります。
牛・豚・羊など食肉生産用として飼われている動物の皮を、加工の過程で得て利用することは問題ありません。そのため、革製品の原料として広く流通しています。
ただし、動物を飼育し処分する際には、動物に不必要な苦痛を与えないようにする必要があり、環境省の基準や、動物愛護管理法などの規制があります。
野生動物のシカやクマ、キツネなどの野生鳥獣は、捕獲自体が規制されており、一般人が許可なく捕獲したり、狩猟期間外に捕獲したりすると、鳥獣保護管理法に違反する可能性があります。
害獣駆除や狩猟免許を持った猟師が合法的に捕獲した個体の皮を利用することは問題ありませんが、捕獲段階で法令を守る必要があります。
昔は動物の皮を得るために動物を殺していた背景もありますが、現在は動物愛護の観点から様々な規制が設けられているため、希少動物の乱獲といったことは格段に減っています。(未だにそんな業者もいるようですが…)
皆さんも普段の食事で動物の命を有難く頂いていると思います。(僕もお肉大好きです!)
革製品に対する考え方は人それぞれあると思いますが、人間のために犠牲になってくれた動物たちの皮を無駄にせず、最後の最後まで大切に使わせてもらおうと考えられているのが革製品だと僕は思います。
なので、その命を大切にしつつ、末永く大事に愛着を持って使っていくことが何よりの恩返しなのではないでしょうか。
革製品を末永く使うためのお手入れ方法は以前のブログに書いてありますので、参考にしていただければと思います。
もし、お手入れ不足で革製品が大変なことになっているのであれば、革専門の修理業者の当店へご相談ください!
命を無駄にせず、これからも大切に使っていただくためのお手伝いが当店でできると思います!
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